支援活動について
今回は支援活動について記載します。OJTなどによる技能承継や診断士による経営支援など支援活動は色々ありますが、このような支援についてまとめた書籍がありませんでした。
しかし、先日の研修から参考になりそうな書籍がありましたので紹介します。「技能科学によるものづくり現場の技能・技術伝承 PTU技能科学研究会 原圭吾著」です。この書籍は技能技術者の技能承継について科学的アプローチや暗黙知の形式知化など具体的な事例が記載されています。また教育プロセスも記載されているので、支援活動をする際に参考になると思います。
今まで診断士の2次試験の対策として「ベテラン熟練技能者と初心者とのOJTやマニュアル化を実施する」や「暗黙知を形式知化する」など書いてきましたが、実際の現場はどのように行なっているのか疑問を感じていました。またOJTはどこまで効果あるのか、など白書に書かれているアンケートぐらいしか情報はありませんでした。そうした意味でも具体的な内容を知る上で参考になるかと思います。今回はこの書籍の中で以下二つを紹介します。
①技能伝承者と未熟練者の関係
技能伝承者(送り手)が未熟練者(受け手)にうまく技能伝承ができない要因として、信頼関係が築かれていないことが考えられ、送り手と受け手とに壁が生じている可能性があります。
(a)技能伝承者(送り手)の壁
「せっかく苦労しても知識を移転しても報われない憤り」や「受け手を頼りない、信用できない、知識があまりない、と認識してしまうことや行動のギャップ」
(b)未熟練者(受け手)の壁
「NIH症候群によるモチベーション欠如」「知識を評価、模倣、適応するための吸収能力の欠如」「諦めず達成するために追求していく維持能力の欠如」
②訓練指導者の支援技法(GROWモデル)
部下へのコーチング手法としてG(ゴールの明確化)、R(現状把握・資源の発見)、O(選択肢の創造)、W(目標達成の意思)になります。
モデルの構成要素 | 概要 |
G:Goal 目標の明確化 | 抽象的な大目標よりは具体的な中・小目標へと細分化する。部下の意見を取り入れた目標の決定 |
R:Reality 現状の把握 | 部下に自分の置かれている立場や状況の認識を促す |
R:Resources 資源の発見 | 目標達成のために何が使えるか考える(人、もの、金、情報、時間、経験、などの活用) |
O:Options 選択肢の想像 | 選択肢は無限にあるという立場から新しい方法を戦略的に考えていく |
W:Will 意志の確認 計画の策定 | 部下のやる気のレベルを見極め、具体的な行動計画を立案する |
以上になります。実際に私が経営支援活動を行うにあたり、うまく支援活動ができなかった場合は事業主との信頼関係の構築ができてないかもしれません。私の提案が難解であり、事業主が理解できないことが考えられます。GROWモデルはコーチングだけではなく、新しいことをチャレンジすることに使える手法だと思います。まずは具体的で実現できるゴールを明確化し、次に現状を把握と資源の確保、さらに選択肢を考え、最後にやる気と共に行動する、ことになります。私も色々行動していきます。最後までお読みいただきましてありがとうございます。
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